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宮地陽子のスタッツ四方山話・第7回 ウェストブルックのトリプルダブル

 アメリカを拠点に、バスケットボールライターとして活躍中の宮地陽子さんのコラムをお届けします。

第7回目は ウェストブルックのトリプルダブルです。

宮地陽子さんの略歴、スタッツの解説を巻末に掲載しています。こちらもご覧下さい。


 ウェストブルックのトリプルダブル

 NBAでは毎シーズン、何かしら、驚くようなスタッツが出てくる。昨シーズンのそれは、ステフィン・カリーの3Pシュート400本成功(レギュラーシーズン)だったが。今シーズン一番の話題は、なんといってもラッセル・ウェストブルックのトリプルダブル(*1)だ。何しろ今シーズン開幕から45試合目までで、すでに22試合、トリプルダブルを記録しているのだ。

(*1)トリプルダブル
得点、アシスト、リバウンド、スティール、ブロックの5部門のうち3部門で2桁の数字をあげること。

 これがどれだけ凄い記録かというと、1シーズンのトリプルダブルの試合数で、歴代5位タイなのだ。しかも、今シーズンはまだ折り返し点をすぎたばかり。あと、まだ37試合も残っているのだ。ここまでと同じペース(ほぼ2試合に1試合の割合)でトリプルダブルを記録すると推測すると、シーズン終了までにあと18試合、つまり40試合のトリプルダブルをあげることになる。歴代2位はもちろん、1位のオスカー・ロバートソンの記録を書きかえる可能性も現実的な話になってきた。

歴代最多トリプルダブル試合数(1シーズン)
1.オスカー・ロバートソン(1961-62) 41試合
2. ウィルト・チェンバレン(1967-68) 31試合
3. オスカー・ロバートソン(1963-64) 26試合
オスカー・ロバートソン(1960-61) 26試合
5. ラッセル・ウェストブルック(2016-17)22試合(*2)
ウィルト・チェンバレン(1966-67) 22試合
オスカー・ロバートソン(1964-65) 22試合

(*2)シーズン途中の1月24日時点(開幕から45試合目まで)

westbrook M

 さらに、キャリア通算のトリプルダブル試合数でも、ウェストブルックは一気に歴代上位に入ってきた。

歴代最多トリプルダブル試合数(キャリア通算)
1. オスカー・ロバートソン 181
2. マジック・ジョンソン 138
3. ジェイソン・キッド 107
4. ウィルト・チェンバレン 78
5. ラッセル・ウェストブルック 59(*3)
ラリー・バード 59

(*3)現役

 通算トリプルダブル試合数の順位以上に注目なのが、シーズン平均のトリプルダブルを達成できるかどうか、だ。1月24日現在、ウェストブルックは平均30.8点、10.4アシスト、10.6リバウンドと、シーズン平均でもトリプルダブルを記録している。NBA史上でも、これを達成しているのは唯一、オスカー・ロバートソンのみ。それも、プロに入って最初の5シーズンは、得点とアシスト、スタッツのすべてで平均9以上という。ほぼトリプルダブルの数字をあげながら、実際にシーズン平均でトリプルダブルを達成したのは2年目の1961-62シーズン(30.8点・11.4アシスト・12.5リバウンド)だけだった。
 今の現役選手の中では、レブロン・ジェームズが平均トリプルダブルを達成できそうな選手としてあげられることが多かったが、そのジェームズでさえ、リバウンドとアシストはシーズン通して平均9本以上をあげたことはない。
 記録達成にはチーム事情も深く関わってくる。ウェストブルックが今シーズン、これだけトリプルダブルをあげているのも、共にチームを引っ張ってきたケビン・デュラントが去年夏にフリーエージェントでチームを去り、ウェストブルックがトリプルダブルをあげるぐらい大車輪の活躍をしないと、チームが勝てないという事情がある。ウェストブルックの今シーズンのユーセージ%(試合に出ている間に使われる割合)は、キャリア最高で、今季のリーグ全選手の中でも最高の41.4%であることにも、それは表れている。
 もっとも、ウェストブルック自身は早くも、トリプルダブルの記録の話題はうんざりしているようだ。12月にトリプルダブルについて聞かれたウェストブルックは、こう言っている。
「正直言って、トリプルダブルの話には苛々させられる。みんな、まるで僕がトリプルダブルを達成しなかったら一大事で、達成したときには驚異であるかのように考えている。僕が気にしているのは試合に勝つこと、それだけだ」

 もっとも、ここにウェストブルックのジレンマがある。というのも、ウェストブルックがトリプルダブルをあげた試合のサンダーの勝率は実に81.8%(17勝5敗)なのだ。逆に、ウェストブルックがトリプルダブルを達成しなかった試合での勝率は39.1%(9勝14敗)。つまり、ウェストブルックのトリプルダブルは、『単なるひとつのスタッツにすぎない』と片付けるわけにはいかないほど、チームの勝敗と密接な関係があるのだ。

 年末に、2016年で最も誇りに思うことは何かと聞かれたウェストブルックは、チームとして成長したことと、コミュニティ活動をあげた。歴史的なペースでトリプルダブルをあげていることは、誇りに思うことではないのかと聞かれたウェストブルックは言った。
「わからない。もし、それで優勝できるのなら、そうだね」

記録はすべて1月24日現在

 

第8回目は、2月下旬を予定しています。お楽しみに。


宮地陽子さん略歴 :バスケットボールライター。ロサンゼルス近郊在住。NBAやアメリカで活動する日本人選手、FIBAワールドカップなどの国際大会を取材し、Sports Graphic Numberなどの雑誌や、NBA Japan, Web Sportivaなどのウェブサイトを中心に執筆活動中。

著書に『The Man ~ マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)がある。

*スタッツ/STATS:通常の得点、ファウルはもちろん、スコアシートからは拾えない、リバウンド、アシスト、ターンオーバー、スティール、ブロックショットなどの記録のこと。 英語のStatistics・統計学の略語STATSに由来。

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