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宮地陽子のスタッツ四方山話・第12回 スタッツで見るルーキーたちのデビュー戦

アメリカを拠点に、バスケットボールライターとして活躍中の宮地陽子さんのコラムをお届けします。

第12回目は スタッツで見るルーキーたちのデビュー戦 です。

宮地陽子さんの略歴、スタッツの解説を巻末に掲載しています。こちらもご覧下さい。


スタッツで見るルーキーたちのデビュー戦

 10月18日、NBAが開幕した。例年より豊作と評価され、開幕前から注目を集めていたルーキーたちにとっては、子供の頃から夢見てきたNBAの舞台でのプロ・デビュー戦だ。
 中でも注目を集めたのは、今年のドラフトでロサンゼルス・レイカーズに2位で指名されたロンゾ・ボール。レイカーズの伝説の選手でもあるマジック・ジョンソンから指名され、伝統あるレイカーズに入団したというだけでも注目なのだが、加えて、父がテレビなどメディアに出て息子を絶賛しまくっている影響で、過剰なまでの注目を集めている。そのため、ヘッドコーチのルーク・ウォルトンも「ロンゾは相手チームに標的とされるだろう」と警告していた。
 しかも、ボールが開幕戦でマッチアップしたのは、昨季の最優秀ディフェンス賞受賞のパトリック・ベバリー(ロサンゼルス・クリッパーズ)。ウォルトンが警告した通りに、ベバリーは試合序盤からいつも以上に気合いを入れたディフェンスで激しくマークして、ボールにプロの洗礼を与えた。結局、この試合でボールがシュートを決めたのは前半終了間際の3Pが1本だけ。シュートは6本打ったが、1本しか決められず、フリースローも2本とも外している。途中、何度もベバリーのフィジカルなディフェンスに苦労する場面もあった。

 もっとも、シュートこそ入らなかったものの、リバウンドはポイントガードながら9本取り、アシストは4本。そしてベバリーに執拗にマークされた割にはターンオーバーも2本だけに終わっているのだから、プロ最初の試合としてはそこまでひどかったわけではない。

 18点差で敗れ、4Qは出番がなかったボールは、「大差をつけられてしまった。僕もあまりいいプレーをできなかった。チームとして打ったシュートは悪くなかったと思うけれど、今夜はそれが入らず、そのことがディフェンスにも影響してしまった」と、個人的な出来よりもチームとして見た視点で反省した。
(ボールは次の試合で調子を取り戻し、29点・11リバウンド・9アシストと、あわやトリプルダブルの活躍をしている)

Lebron James 21 ドラフト3位指名のジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)も、デビュー戦でプロの洗礼を受けた。試合開始から1分余りのプロ最初のシュートをレブロン・ジェームズ(クリーブランド・キャバリアーズ)にブロックされたのだ。ゴール下のレイアップ、大学なら楽に決められていたシュートだ。試合後、テイタムは「彼(レブロン)は思っていたよりずっと大きかった。想像していたよりずっとすごい選手だった」と感嘆している。
 デビュー戦に緊張していたというテイタムはこのシュートを含めて、前半のシュート5本をすべて外し、フリースローの2点のみ。後半は平常心を取り戻し、持ち味を発揮して、7本中5本のシュートを決め、12得点をあげた。リバウンドは前半、後半ともに5本ずつ獲得したため、試合を通して14点・10リバウンドと両項目で二桁のダブルダブルを記録している。伝統あるセルティックス史上で、デビュー戦にダブルダブルを記録したのは3人目。彼の前にデビュー戦でダブルダブルを記録したのは38年前のルーキー、ラリー・バードだった。バードも14点・10リバウンドと、テイタムとまったく同じ得点、リバウンド数だった。打ったシュート数が12本だったのも同じ(バードは6/12、テイタムは5/12)。地元紙には、「レジェンド、ラリー・バードのデビュー戦のスタッツとそっくり」との見出しがつけられた。もっとも、大きく違ったのは出場時間。バードが28分だったのに対しテイタムは36分32秒だったが。

 トップ3位指名選手の中で、デビュー戦で唯一スターター起用されなかったのがマーケル・フルツ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)。出場時間も17分54秒と、3人の中で最も少なかったが、それでも9本のFGを打ち、5本のシュートを決めて10点。短い時間での効率いい得点に、スコアラーとしての本領を見ることはできた。
 もっとも、シクサーズで最も注目された”ルーキー”はフルツではなく、2016年ドラフト1位のベン・シモンズだった。本来は昨季のルーキーだったが、開幕前に足を骨折してシーズン全休しており、今シーズンの開幕戦(対ワシントン・ウィザーズ)でNBAデビューを果たした。シモンズはスターターとして34分40秒出場し、18点・10リバウンド・5アシスト・2スティールと抜群の存在感。彼の前にNBAデビュー戦で18点以上、10リバウンド以上、5アシスト以上を記録した選手は23年前、1994年にルーキーだったグラント・ヒル。その前は1974年のビル・ウォルトン、1969年のカリーム・アブドゥル-ジャバー、1960年のオスカー・ロバートソン等と、往年の名選手の名前が連なる。
 シモンズはデビュー戦での感想について、「まるで2K(ビデオゲームのNBA 2K)でプレーしているような気分だった」と現代っ子らしいコメントをしている。
「自分のサイズとスピードを生かそうと思ってプレーして、けっこううまくやれたと思う」と合格点をつけつつ、「もう少しできたと思うときもあって、それができていたら試合に勝っていたかもしれない」と、反省点も口にした。

 ちなみに比較までに、今ではベテランとなったスーパースターたちのデビュー戦でのスタッツを振り返ってみよう。
 何といってもすごかったのは14年前の2003年にNBA入りしたレブロン・ジェームズ(キャバリアーズ)。ドラフト1位の鳴り物入りで地元キャブスに入ったジェームズは、開幕戦でもスターターとして出場し、最初のクォーターにいきなり12点・3リバウンド・3アシスト・2スティールと、半年前まで高校生だったとは思えないほどの鮮烈デビュー。試合を通して42分に出場し、25点・6リバウンド・9アシスト・4スティールと、オールスター級のスタッツを残している。この時のジェームズはまだ19才の誕生日を迎える前。思い返しても、すごいルーキーだった。
 ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーがルーキーだったのは8年前の2009年。スターターで起用されて35分39秒出場し、14点・2リバウンド・7アシスト・4スティールをあげている。興味深いのは、今では驚異的な3Pシュート力で知られるカリーが、このデビュー戦であげた14点はすべて2点FGでの得点だったこと。大学時代からシュート力には定評があったのだが、デビュー戦では3Pは1本しか打っていなくて、しかも外している。
 もちろん、デビュー戦はプロキャリアの始まりにすぎない。デビュー戦でどれだけいいスタッツを残してもすぐに消えていく選手もいるし、逆にデビュー戦でまったく活躍できなくても、頭角を現す選手もいる。
Kobe Bryant1 後者の代表格はコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)。高校卒業と同時にNBA入りしたブライアントは、18才2ヶ月半で1996年11月にプロ・デビュー。2日前の開幕戦の時は股関節屈筋を痛めていて出場できず、2日遅れでのお披露目だった。もっとも、当時レイカーズのヘッドコーチだったテル・ハリスは若いブライアントをいきなり戦いの中に放り込むことはせず、結局、控えからわずか6分22秒に出たのみ。1本だけ打ったシュートは外し、0点・1リバウンド・1ブロックに終わっている。当時、ブライアントは出場時間が短かったことに少し失望したと認めているが、と同時に「ベンチから見ていても学ぶことはできる」とコメントしている。
 どんな試合からも学ぶ姿勢を忘れなかったブライアントは、結局、20シーズンという長いキャリアを送り、そのうち18回オールスターに選出され、2度得点王になり、レギュラーシーズンMVPやNBAファイナルMVPにも選ばれ、歴代でもトップクラスの名選手となった。今年のルーキーたちにも、成長し続け、これから何年もワクワクさせてくれるようなキャリアを期待したい。

今月から隔月の発行になり、次回は12月下旬の予定です。お楽しみに。


宮地陽子さん略歴 :バスケットボールライター。ロサンゼルス近郊在住。NBAやアメリカで活動する日本人選手、FIBAワールドカップなどの国際大会を取材し、Sports Graphic Numberなどの雑誌や、NBA Japan, Web Sportivaなどのウェブサイトを中心に執筆活動中。

著書に『The Man ~ マイケル・ジョーダン・ストーリー完結編』(日本文化出版)、編書に田臥勇太著『Never Too Late 今からでも遅くない』(日本文化出版)がある。

*スタッツ/STATS:通常の得点、ファウルはもちろん、スコアシートからは拾えない、リバウンド、アシスト、ターンオーバー、スティール、ブロックショットなどの記録のこと。 英語のStatistics・統計学の略語STATSに由来。

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